2009年に行った、舌の腫瘍摘出手術では、目に見えるガン細胞の病巣の周りを、ぐるり1センチ多めに切り取りました。
これは標準的な処置で、おそらくどこの病院でもそうだと思います。
あのときの病巣が約2cm×1㎝だったので、切り取ったのは4㎝×2cm。
切り取った表面には、
人工の粘膜を貼って保護しながら、傷口が回復するのを待ちました。
人工粘膜がはがれてしまわないよう、ガーゼで厚くおおっていたので、入院中、ほとんど話すことも噛むこともできませんでした。
今回は、病巣は約1mmだったので、切除範囲は直径2cmと、前回の半分くらい。
そのため、手術前に、
「今回も人工粘膜を使うか、糸で縫合のみになるか検討中です」
と言われていました。
縫うだけの方が傷口の回復は早くなりますが、あまり広範囲に切った場合は、引きつれる可能性があるので、後々のことを考えると、粘膜を貼ったほうが舌の動きを温存できるとのことです。
ちなみに、この人工粘膜は非常に高価。
前回の手術の途中、麻酔はしながらも意識があったので、いろいろお話を聞いていたのですが、ほんの数センチ角で何十万円もするそうです…!
(だからという訳ではないでしょうが)手術当日、今回は主治医の先生と部長の判断で、人工粘膜を使わず縫うことになりました。
午前中、旦那に付き添ってもらって病院へ。
なかなかベッドが空かないらしく、仮の部屋で2時間近く待ちました。
血圧は上93、下68。
だいたいいつもどおりで低いです。
体温37.1度。
あれ?微熱?
よく、
「低体温(36.0以下)はガンの温床」
「体温をあげれば免疫力がアップする」
等といいますが、私、昔から、平熱は高いんですね。
平均36.5度で、夏場は37度近くあります。
それでもガンにはなるんだなぁ。
…それはおいといて、この微熱は何だろう?
気になりつつも、手術は予定通り行われることになりました。
お昼過ぎ、主治医の先生が部屋に来られて、再度流れを確認します。
2年前の手術では、
(1)患部を切除
↓
(2)体にガン細胞が残っていないか調べるため、切った部分のまわり5ヵ所ほど、小さく組織を切り取り検査へ
↓
(3)結果次第で、もう少し拡大して切る場合もあり、何もなければ人工粘膜を貼って終了
という、「
術中検査」を行いました。
手術台の上で口を開けたまま、麻酔を効かせたまま、小1時間ほど検査結果を待つことになるので、患者の体の負担は多少増えます。
命のためだから、もちろんガマンしますが、患者さんにはお年寄りや体の弱っている方も沢山いらっしゃるので、負担は少ないにこしたことはないですよね。
今回は、目に見える腫瘍部分は、検査の時に取ってしまったので、術中検査はしないことになりました。
かわりに、手術前に、食道がんの検査でよく使われる「試薬」を塗って、反応を見るそうです。
試薬の色が変われば、その部分にガン細胞があるので、切除しなくてはなりません。
という訳で、病室で、ムラサキ色の試薬を舌に塗りましたが…。
ものすごーーーーく、不味いです。
文字どおり、苦虫を噛み潰したような顔になってるのが自分で分かります。
先生も、事前に「このお薬ね、かなりピリピリ沁みるんですよ。でも一度塗ったらうがいできないので…。」
と申し訳なさそうにおっしゃってました。
いえいえ、自分の病気の有無を調べる為だし、もちろん文句はありません。
小さな子供を残して死ぬことと比べたら、薬が不味いことも、手術も点滴も血液検査で何十回も針を刺すことも、しばらく流動食で暮らすことも、別にどうってことないんです。
いつも、そう思っていろんな処置を乗り越えておりますです。
さて、試薬の結果ですが、とくに目だった色の変化はありませんでした。
いちおう、表面にガン細胞の固まりはなかったということで、ひと安心。
「それじゃ手術の必要はないんじゃないの?」
という素朴な疑問がわいた瞬間、先生も同じことを予想したらしく、
「でも、これは表面の事しかわからないので、手術は実施しますが…よろしいですか?」
と(^_^;)
もう何度も、リスクと必要性は考えた上なので、もちろん異論はありません。
看護師さんが迎えに来られ、唾液の分泌を抑える注射をして、ベッドごと、ガラガラと手術室へ向かいます。
前回も思ったけど、どうしても、医療ドラマみたいやなぁ~と呑気なことを思ってしまいます。
入り口で旦那の手を軽く握って、
「じゃ、行ってくるね。」
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